日常/蟹太郎
 
 
 
 
春、物陰に隠れた君が指す
碧を手離した空
 
忘れた誠実と平静を解く
閑散な街に響く駆動音
 
銜えた脛骨を道端に捨て
逃げ出した犬は消えた
 
猫の砕けた悲鳴
紫色の喧騒を枯らして
 
肌を濡らす霧雨
入り乱れた反射光を与えても
まだ殺風景
 
 
 
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