食物月/縞田みやぎ
がっかりする ああ もう
がっかりする
私は何を見にいったのか と
口のはたを上げる
私はベランダでいいわ
分というものが あるでしょう
あの手すりからは いっとうきれいに 花火が見える
あすこに球場と その先に 海があるの
日も いちにち よく当たる
食べる分だけでいい
足しになる分だけでいい
母よ
好きに生きさせてやりたい
私の いのちなのだから
おしまいまでが すべて
おだやかにふくらむ 芽吹きの季節だ
めだかは たまごを
産んだ
今
母よ
得るために育てるということは
ひとつも
自然なところがないのだ
すんなりと せすじを伸ばしたまま
空が
やせていくのを見ている
灰をまき かえさなくてはならない
これから
約束のない季節が来るのだ
母よ
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