天動/佐野みお
 
あなた という名のふくらみに
わたしはこの頭をもたせかける
そっと 流れるものを 感じる
ふくらみを(世界の) あなた
という名の 熱く流れるものを

わたし という名のふくらみに
あなたは手を添える いくらか
はずかしげに 熱く流れるよ
ふくらむわたしの中(世界が)
あなたへと今やほとばしろうと

わたしたちは 世界のふくらみ
わたしとあなたは世界のへこみ
へこみとしてのわたしの奥深く
あっ あなたにのぞかれている
世界の深い部分はずっと高熱の
どろどろとした流れであり続け
たまたまそれがふくらんでいる
あなた と わたし として

夜空では星々が微速で すべる
星座の形は変わらないようだが
ときどき剥がれ落ち流星となる
不動の世界に含まれつつ その
ふくらみとして へこみとして
あなた わたし むつみあう

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