しねないとおもった/朧月
私はなぜ生まれたのだろう
誕生してほしかったのは
確かに母の願いだが
生まれ出でたのは私の意志なのだろうか
あれから何度考えても答えがでないのだ
悲しいとおもうたび
苦しいとおもうたび
恨む相手が自分であるから
うった拳も自分であるから
涙するのも自分であった
しねないとおもった
しぬ理由などあっただろうか
いらないと言われたときでも
自分の生まれた意味を知らない私は
しねないとおもった
生まれた意味を探すとき
同時にしぬ意味も探してみる
同じではないとおもいながら
同じであってもいいとおもう
戻る 編 削 Point(5)