冬支度/吉田ぐんじょう
 
わからないままである
わからないまま抱きしめると
意外なほどにあたたかい

それでようやくこの頃は
ずいぶん寒くなったと知る



朝焼けも青空も夕暮れも
曇りの日も雨の日も霧の日も
すべての日々が
あんまり透明で美しいものだから
晩秋のわたしはご飯を食べるのも忘れて
ぼんやり空を見上げたり
せわしなく呼吸をしたりして暮らす
だから冬になるころにはすっかり薄くなって
夫が丸めて持ち運べるほどになるのだけれど
冬になればなったで冬眠のため
せっせと栄養を蓄えるから
何の問題もないのだ

今年もだんだんねむる時間がのびてきて
半日ねてもねたりない
そろ
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