しろいよる。/aokage
そこには白い夜が横たわっていた。
美しい肢体の上には黒い枯れ木が今にも折れそうに、
風に揺られていた。
私はその枝をポキリと折って、
彼女の口元へ持ってゆく。
僅かに開かれたそこに滑り込ませれば、
すぐに変化が現れる。
先ずは唇から。
じわじわと黒に変わってゆき、足先までそれは拡がる。
そして彼女の白は枯れ木へと移り、
豊かでたおやかな葉を生い茂らせる。
朝になったのを見届けたワタシは、
ゆっくりと彼女の元を離れる。
再び訪れる夜を、心待ちにしながら。
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