東京/ゆうさく
夜行バスからはカルキのにほひが微かに漂い、灯りが複雑に道を作っていく
大聖堂の、鐘、耳をすませ、どくろをまいた煙が空を突く音、パンパン
ヘッドフォンにしみついた街の色、それぞれ、生きる、ピュアの幻影チラリズム、音楽、ラリ
汚された秋に、人々はうねる、街々は、あ、とろけていく、絵の結晶が大都会、とけていく
見えぬ雨の幻、ホログラム、無色の美しさにぼくらは離れられず、ありきたりな恋愛話をして夜は老いていく
恋に犯されるのを拒まなくなった文学少女は、紙に夢をつめて、それをなけなしの空に放つ姿は艶めかしい
そのあと、優しい発狂をしていた
湖が黄色に染まったころ、ぼくらはつまらないワルツを踊る、舞い上がる、ふわ、早歩きする木枯らしに、とくん
街々は今日もまわり、美しい無を作る。人々は透明な雨に塗られながら、愛しい挨拶を交わしていく
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