蒼と呪文/セキラボ!
蒼と呪文
短い呪文ばかり並んだ記憶がある
左頬が汚れた女の子
握られた死に絶えた雑草
窪んだ陽射しのまんなかで
僕は十二歳だった
頭に 灰色の世界
蝿がそこら中に飛ぶ
そこら中に飛ぶ視線
ただ1つの角度 死角
そこに蒼があった
確かに
灰色の世界の女の子に問いかけてみる
「君には見えるかい?」
彼女は静かに見つめている
何を?
何をだ?
僕の俯瞰じゃあ届かないもの
蒼
見えるのかい
教えてくれないか
君なら知っているはずだ
蒼を 確かめる 呪文
を
短いばかりの呪文が響いたか
左の頬が汚れたまま
女の子はじっと、蒼を見ている
やがて 僕を見つめている
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