言霊/乱太郎
 
妖言の使者顕われて
戯れる闇夜のひととき
濡れる息使いを殺し
桃源の森を散策する

    (ここには
     あなたとわたし
     しかいない
     わたしとあなた
     だけ)

桜の樹を背に当て
さざめく月を赤い唇で呷る貴女
眩い日照りでは
愛しい貞女
時には花模様の猫
人の気配など寄り付かぬこの場所で
白く妖艶な太腿を晒し
此の世のともあの世のものとも知れぬ唄を
言の葉を手毬の様にあやす貴女

    (あなたに
     見つめられて
     あなただけを
     見つめて)

狂おしい沈黙
獣の薄ら笑みが覗いている
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