回心の海/山中 烏流
 

ひたすらな静けさにたたずんで私は声をなくす/それはまるで切り離されたようだ、しかしそれよりは遥かに酷い状態だ/少女は亜麻色の髪でなくてはならなかった。しかし、乙女である必要はなかった/空を飛ぶ魚とは、実に的確だと彼は言う。更に、詩的だと、続ける。私にとっては彼自体が詩的だ/海月を好きなのは、いつかの誰かの影響だ/私はもう色々を知っているから、突然自分の太ももが赤く濡れようと、枝毛の多さに驚こうと、風呂場の窓が開け放たれていようと、何も思わない/私は、そこで回心する。





彼は誰も救わなかった。
人々の目が枯渇するのを見て、そこに餌を投げ入れただけだった。
ただ一人、その様
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