語る足先/朧月
物言わぬ足が私を見つめている
それは君の足だ 君が歩きつかれて
私の目の前に四肢を横たえて眠る足先
見るともなく触るともなく触れて
その足裏が少しいびつなのに気づく
君ハソウダッタノカ
恐れるのではなく珍しさでもなく
悲しさでもない私の心から伸びた指
君という私の大事な人の
そのいびつな足先には
私が知る由も無い物語(はなし)があるだろう
だがそれは君というなにものにも関係がない
君ハアルキニクサニ
私は見つめる君の足先の先の物語を
そこには私は登場しないか
いるとしてもそれは 今の私ではない
今の私はこれからも君が眠る横で
君の何かを発見してゆくことだろう
そしてそれでも 私と君は
変わりなく惰眠を貪りあうその空気の中は
ドウデモイイジャナイカ
奇襲にもにた来訪の
いて当然の間柄の暢気さのリズムで満ちている
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