片隅のさっちゃん/mad.rabby
私は黒板に大きく書く。
「そして、私は失われた。」と。
教室がざわめく。
先生は私を睨み、教科書を握る。
哀れみにも似た視線が降る。子宮が痛い。
この場から今すぐ逃げてしまいたい。
足元がおぼつかない。視界は真っ白。
気がつけば保健室のベッド上。
「ただいま。」
もう保健室が私の教室なのだろう。
医療器具などは、私の私物みたいなものだし。
私はおもむろに棚から包帯を取り出し、保健室のドアノブに包帯を巻いた。
「ここが痛むの。」「ここが私の居場所でしょ。」「治るかな。」
様々な思いを巻く。ぐるぐる。
包帯を巻いたドアノブは、まるでその姿が本当の姿かのように、自然だ
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