へたるヘタレ/木屋 亞万
 
トンネルを抜けると山だらけ
あなたにとっては突然湧いて出たように見えるだろう
噎せ返るような木々のうなりは
人間の単位で計るのもおこがましいと思えるほど
遥かなる時を生きている

町ですれ違う人たちは着飾った風景ではない
それぞれ時を重ねてこの場に至ったのである
そのすべてを知ろうとしなくてもいいけれど
その蓄積の存在にすら気付かずに
ぞんざいに扱うというのは
どうなのだろう

目の前にあった木に
気を紛らわすためにした落書きも
道で誰かとすれ違うときに
吐き捨てた言葉と舌打ちも
規則や指導によって改めるものなのだろうか、

考えてみようか
自分の将来とか、
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