距離/アンテ
「メリーゴーラウンド」 7
距離
星には決して手がとどかないって
知ったのはいつだっただろう
夜空のした
はじめて自分で立って見あげたあの時
ぼくはすでに知っていた
夜空の星はみんな
ぎらぎら燃える太陽なんだって
記憶はぜんぶなくしたはずなのに
それだけは
なぜか鮮明に覚えている
本館2階の売店のドアをあけて
一歩を踏み出したのは
ぼくが先
でも 先に気がついたのは
彼女だった
廊下がどこにもない
広々とした草野原が鎮座ましましていて
大量に空気に溶け込んだ
草のにおいが
ひとかたまりになって
風に
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