反射光/あぐり
ることで
もう終わりなのだと信じてた
おとうさんはわたしをかかえ
おかあさんはわたしのみじかいかみをなで
電話はずっと鳴り響き
しろいしろいシーツの色を
認識した頃には生きていた
産まれたときにわたしを包んだしろさは
きっと、もっと
なにもしらない色だったに違いない
赤いサイレンと
細い管と
ぜんぶぜんぶが どうしようもなく生きていた
いままでありがとう
と
おとうさんに言った真昼から
何枚も夜をめくって
カーテンから差し込む日差しがこんなにも眩しいから
いままでも これからも
ありがとう
と
ありがとう
と
ちゃんときこえているかなって
ねぇ、声に出せたら良いのに
飾り気のない文面で
「ありがとう」と
あの日にみた光の粒
きらきらと反射され
今日もまた
海は広がる
淡い青に薄く陽が差す
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