抱擁/しゅう
寄りかかるように抱擁する
くびすじに鼻をうずめる
匂いがする
人なのか、花なのか
どこに生えればいい
ここに生えてほしいとは、言えない
空白が待ち構える
根を張ったら、そこで何もかもが終わる
そんな予感がぴしぴしと背骨を濡らす
何も伝わらないほど、硬い
人間が転がる
問い、が宙を浮く
路地と宇宙が同じ重さで、ぽっかりと空白を作る
時間がない
やむなしに歩き出すのが常だ
背後で蠢いているのが、
人なんか、花なんか、
寄りかかるようにしか抱擁できない
交わった瞬間、群れようとする
くびすじに、
人間が埋まっていく
花が背骨を搾り取ろうとしている
空白が、ヒキガエルみたいに踏みつけられて死ぬ
鉄のように、熱い
火の腕が踊る
人なんか、花なんか
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