相互転化/キョウコ
なにかを得るとなにかを失う世界において
きみに出会ってしまった時点でもうわたしの運命は決まっていたんだよ、多分
絶え間なく流れるプリズムに乗って
酸素を感じながら
閃光を発して赤い涙を流したきみを見つけた
わたしは
一秒とない早さできみにキスした
「運命は決まっていたんだよ」
閃光はわたしたちを包んで
狭苦しい世界を埋め尽くした
少なくともわたしには、そう見えたよ
目まぐるしく移り変わる人間は、果てしなく昨日を探していた
オーバーラップする昨日は、やがて海に混ざりわたしたちの元へやってくる
だからこそきみが溶けてなくなっていくことを、引き留めることはできない
だからこそわたしは
きみの手を離さないんだから
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