秋の夜長をつれづれに。/aokage
何も考えなくて良い。
人が造った光の造形物を肴に、安酒を煽る。
聞こえるのは虫の声と、遠くをゆく車の音だけ。
嬉しい事も、嫌な事も、
この時だけは、思い出さずに。
静かで、穏やかな時の流れに身をまかせる。
あの光の中には、どれだけの人の営みがあるのだろう。
一つひとつの光の中に、一つひとつの生活と想いが。
たゆむことなく、緩やかに、
流れ続けているのだろう。
川面を跳ねる魚たちも、木陰で眠る鳥たちも。
ここから見たら、総てが同じ、儚い命。
風に揺れる、藤の葉も
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