十人単色恋模様嘆句 (ジフニンタンシキコヒモヤフナゲク)/邦秋
 
「愛してる ただそれだけを 伝えたい」?
「着信が 入ってないと 淋しくて」?
「いつもいつまでも あなたに 会いたくて」?
「たくさんの 言葉と幸せ ありがとう」?

 一四世紀前が今だったら
 こんな言葉が残ってた?

 宝石よりも手頃な石コロを
 いつから放つようになった?

 歴史に、国語史に、芸術史に
 言葉の文化を刻むのならば

 今、世に溢れる流行りの句(うた)は
 ありきたり過ぎた恋愛三昧

「古(いにしえ)の 言葉と心の 気高きは
現在(いま)の浅はか 嘆くばかりか」。
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