Stabat Mater/AB(なかほど)
 
  

そちらは晴れていますか
あの青年も一緒にいるのですか
計り知れない憎しみはもちろんあるのですが
それでも
彼にもわずかの救いがあれと思う誰かがいます

そちらは晴れていますか
君のお母さんにも
この頃ようやく晴れ間の見える日があるようです

ほんとはあの日も
抜けるような青い空でした
いくつもの瓦礫のこすれる音
ときおり破裂する音
砂の巻き上がる音
叫ぶ声
抑えても叫んでしまう声
青空に吸い込まれていました

三日前に
君よりも幼い子を残して
一人の母が死にました
かつて彼女の恋人がそうしたように
でも
年老いた彼女の母親もまた
叫んでいます
抱きしめるべきは我が子なのだと
その孫を抱きしめながら





祈りを忘れてしまう夜がいくつもあります
誰かが亡くなったことを耳にしない日はないというのに

ハンバーガーを食べながら
我が子にその意味を問われました




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