タンポポ/殿岡秀秋
 
が年輪のように皺を増して
タンポポの茎の襞まで
見るようになった

遠い日に
野原に隠れた女の子たちは
地中深く根を張って
幾世代にもわたって
黄色い花を咲かせ
白い綿毛をつけているのだろう

逢うことがなくなった人は
どこかで花を開いているかもしれない
遠景に去った人を
呼び戻さなくても
目の前にある綿毛に
息を吹きかければ
白いスカートを広げて
昔のままに弾んで
微笑んでくれる

綿毛の先の黒い種は
あの人の瞳だ

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