金木犀/湖月
 
 何度目かのこの気持ちを抱えたまま
 金木犀の咽るような香りに悩まされ
 ひとつに手を伸ばし 触れた指先から
 こころ全てを奪われた

 うつろう季節にひとつ
 一筋のひかりを辿れば
 またあの場所へ行けるのだろうか
 
 欲しいのは一つのものなのに
 それと引き換えに全て 奪われてしまう


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