一握/ウデラコウ
 
指の隙間からさらさらと 掬った砂がこぼれるのを眺めては
自分の幸せもまた この両手から零れ落ちてゆくのだろうかと思う

いつしかあたしは 臆病を体中に纏わりつかせるようになって
君のやわらかいトコが 大好きなのに
まだ酷く ソコに触れるのを躊躇してる

何も話さないことは 一番卑怯だと
君は諭すように話すけど
話した後に 全てが崩壊してしまうことを覚えたあたしは
卑怯でもいいわと 思ってしまうのよ

両手一杯に掬った砂は いつの間にか消えていて
自分の幸せもまた 気づかぬうちに失くしているのかしらって
頭の隅で思いながら

いつしかあたしは 不確定と不安定の狭間から
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