冬と水/木立 悟
 







気まぐれに硝子の冬は燃えあがり舌先の火に顔ちかづける




老人が甘えたらすぐ見せしめにサウンド・オブ・サイレンスを燃やす




こんがりと表裏なき冬満ちて干き潮の音干き潮の音




夜の部屋ひかりの柱かきわけて見えない白を見える白を呑む




夜の灯の橙色の冬の夜の明るさよりも明るい虚しさ




突き刺さる氷の単位どこまでも燃え尽きるまで手のひらを見る




けだものの腹やわらかき指しずめ冬の火ひとつまさぐる夕べ




群盲の手が群盲を燃やしゆく群盲の街煽りし美声




刃の上の無数の笑みと手のひらと記憶の霜を掃う陽の傷




途切れても断たれてもなおあなたにはあなたの言葉ふりそそぎくる




冬が去り冬もどる日の我の手に目を射る言葉と覚悟灯して

























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