交差点には白い箱/しゅう
この十字路は侵されない
土を敷き詰めた箱庭
べろを食みながら、本を読む
スミレを植えて、季節を待つ
栞を挟んで、雨を待つ
町が沈むたびに誰か来るから
スミレは枯れていく
叫ぶ人を庭に埋めて、季節を待つ
閉じた箱のなかにある
電飾の太陽が
私を焼く
土が肥える
ゆれる箱の外でスミレが咲いている、
のではないか
開けてしまったら台無し
だらしなく寝そべり、季節を待つ
今日も季節を待つ
四季が混ざる
箱庭に背骨を沿わせて、皮膚をめくる
土は私、埋めた私、スミレは
もう、読む本が無い
車が走る
十字路は侵されない
私は白くただれながら、まだ来ない
季節を食む
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