花は女の匂いがする/亜樹
めったにないことだが、仕事で都市部にでなければならないことがある。そんなとき交差点を歩いていると、あまりの人の多さに眩暈がするのだが、同時に誰かがつけていた甘い香水の匂いに触り、私は先輩を思いだす。
先輩は、私がSEXをした唯一の人間である。
昔から、女の子が好きだった。
自分より、頭一個分低い女の子に欲情する性癖がついたのが、いつの頃からだったのかよくわからない。
ただ、顔中ににきびをこさえた、不細工な女子学生だった私は、いつも可愛い女の子に強い憧れをもって、同時に彼女たちを憎んでいた。
捻じ曲がった感情の行く先に、先輩はいた。
先輩は私より2年長く生きているの
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