海獣/仲本いすら
だからどうしようもなかった
その後にはなんとなく煙草を火をつけて
紫煙を燻らせながら横目でバスルウムを見る
そこに海はない。
* *
昨日だってそうだった。
切れ掛かった蛍光灯を取り替えぬままに。
ここ三日は陽の目を見ていないタオルケットに包まるだけで
もうそこに清潔さも爽快さもましてや暖かさもない
そのまま水母になったようなイメエジのままで
緩やかに憂鬱を漂うことだけが救いのように感じた
そこに海がない、ただそれだけの理由でなんだって憂鬱だった
冷蔵庫を開ければコントレックスしか無い
そこに海がない、ただそれだけの理由だった。海獣になりたい。
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