海獣/仲本いすら
昨日だってそうだった。
大して金にもならない仕事で、ただ毎日を削っていた。
どう削ってみても、まるで僕から出てくるフケみたいに
細々と卑しく落ちてゆくだけできっと何も感じちゃいない
ポラロイドカメラを自分に向けて切ってみたって
きっと僕だけはそこに写らないんじゃないかなんて考えてみたりもして
そこからゆっくりと、僕は夜の部屋に溶けてゆくのだから。
*
波の音を聞いていた記憶をいくら思い返しても
そのどこからどこまでが胎動だったのかなんて
思い出すことも出来ないし、思い返そうとも思わない
セックスの最中に僕の性器からにおう潮の香りは
いつだって偽者なのだか
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