地面かみなり/オイタル
 
「にいちゃん、まって!」
 青い公園と名づけた近所の小さな公園から、兄が走り去る。
「おおい。」
「にいちゃん!」
呼ぶ声は聞こえているはずだが、兄は走る。腕を振ってどんどん走る。あっという間に小さくなる背中である。

 二つ違いの兄弟は、けんかが日課である。何が原因かなど覚えていられない。からかうことが兄の問いであり、なくことが弟の答えである。

 三人で青い公園にお散歩。
 背後を歩く弟は、大声で兄を呼ぶものの、自分が走るつもりはもうとうない。根元から折り取った細い雑草を振りながら、得体の知れぬ行進曲を口ずさむ。そうしながら兄を呼ぶ。兄を呼んではいるものの、追いつくつもりはな
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