「百年樹」/月乃助
ら、どうしても
寓せずには…、たとえおまえが
このあたしをその腕で強く 拒絶しようとも。
100年ものとおい月日のさきに 【×100】
いまでは、老い
家並みの背を眺めるおまえに、
風はいつものように ためらいの
優しさを運んでいた
どうして、みな そうでないと、意志のない存在などと、言えるのか
さびしさは、見上げる誰もに うなずかせるはず
立ち尽くすその姿を確かめれば、
悲しさに葉を染め
まるでかせられた仕事でも
あるかのように それが
おわったなら、この街を出て
死んだように眠りつけばよい
― あたしは、おまえの墓をたてるよ、
十
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