かいそう/若原光彦
俺は夜道
コンビニからの帰り道
考えごとをしながら歩き
歩きながら考えごとをし
メモを取ろうとふと立ち止まり
ああ手帳は
置いてきたのだったとふと
星のない空を見上げ
生気のない壁を眺め
振り返るとそこには
俺がしまったという顔で立っているのだ
だが俺もどうせ
しまった畜生といった顔で
振り返っているのだろう
どちらともなくにやにや笑いを浮かべ
ごみはごみ箱へという標語がなぜか頭に浮かび
俺はぷいと前を向いて歩き出す
するとそこには
しまった畜生といった顔をした
俺が振り返っているのだ
なんてこったよわかっちゃいたがと
笑いを禁じえず頭が痒くなり
もじも
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