顔のない夢/瑠王
 
まま
鳥籠が揺れる

漸く手が
君の肩に届いたところで
反射する光に眩んで
意識が動揺する
鳥籠が揺れる

ともなく
駆けてくる馬の筋肉の躍動が
私の夢を遮る


カーテンは閉じられ
今度は
コバルトブルーと
オレンジが
途方もなく


女の夢を見た
髪の一筋まで記憶しているのに
彼女には顔がなかった
此方で私は彼女を探しにゆくのだろうが
気づかぬ間に
彼女との出逢いは
果たされてしまうだろう
いつ出逢うともわからぬひと
彼女には顔がなかった



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