人魚姫/黒乃 桜
 

愚かさを主張して あなたに辿り着けない
軽々しく触れないで 泡になってしまう

少しはにかみながら 喉が切り裂かれている、と
口ぱくの懇願 『どうか、気付いて』

あなたは言うわ 「名前を当ててみようか?」
出てきた中で 一番綺麗なのが私の名前

日に当たらない所為で 白いままの私の肌
焼けてしまいそう 溶けて、溶けて、消えてしまうわ

海(みず)を行き来すれば 淡いままの私の心
手を伸ばしてみたいわ 白い、白い、清純な気持ち

愛しい爪が
触れて、 触れて、 真っ黒になった

私の髪が
触れて、 触れて、 真っ黒になった


あなたが呼んだ
甘い、 甘い、 私の名前


ドレスの裾から 閉じ込めた想いが溢れる
珊瑚色に 染まってやがては 真っ白な光りに・・
戻る   Point(1)