ごはん/sekka
御飯を頬張る私をまじまじと見ながら
太った?と聞くから
3キロと答えた
大袈裟なくらいあなたは笑って
幸せ太りだねと言った
私の頭には浴槽があって中を覗いて見たけど
お風呂に入るにはちょうどいい具合でまだ溢れてなかった
そういえばあなたと出合った頃
私のことをお腹が空いてそうな顔をしていると言ってたっけ
つまり私はあれからたくさんの思い出を食べて肥えたのだろう
甘くてしょっぱくて苦くて辛い時間たち
すべてぐちゃぐちゃと御飯に混ぜで飲み込んできた
そんな私があなたの目に幸せそうに映るならそれでいい
それでいいけどきっと男の人は
お腹が空いてそうな女の子を満たしたがるのだろう
御飯に目を落として
そうして私はまた一匙口に運んで飲み込んだ
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