名前を教えてあげる/あぐり
屋上で風をみていた君とわたしの背中には羽が生えない
望んでいないところに種は蒔かれない
潤いなどない足の付け根にいつも息を吐き出す他人には
顔がないものだから頭のなかで君の眉間のしわを貼り付けている
午後十一時に君はいつもメールをくれて
わたしはそれまでにお風呂に入り髪を洗いながら横顔の正確な骨格を思い出し
決して豊かではない胸を押し潰しては
もっともっとちいさくなりますように。って願ってる
どうして誰かと眠る度に
この二つの塊は膨らんでいくのだろう
、声をあげないからかもしれない
押し殺しておしころして、眼を瞑っているから
その間にあいつらがわたしに注ぎ込んでいるのか
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