無題/
しゅう
軒先にナイフをぶらさげながら、雨が止むのを待っている。
したたる雫は舌足らずに私の下で喘ぐだろうし、
着替えた下着は乾ききらずにあなたの肌を濡らしては、
行ったきり途絶えた糸電話の答えを探している。
膝を寄せれば糸は垂れ、
声が絶えれば手繰り寄せても、するりと片付く頼りなさには、
慣れたと言っても空を見て、窓を閉めてもガラスを粒が叩くたび、
きんきんと銀が跳ね返るのを、心待ちにする。
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