秋雨/
きゃとる
そう呼ぶには勢力が強く、些か風情に欠ける感はあるものの、私はこのような秋の夜長が堪らなく好きであり、また同時にその余りにも寂莫とした暗闇にいつも堪えられない。
私を喧騒からすっかりと隔て、ひっそりと真実を覗きこむ快感を守ってくれる秋雨。それは間違いなく私の味方だ。
しかし、明けることのない闇の中で永遠に続くかのような淑やかな雨音は、同時に私自身の逃れようのない呪わしき孤独の音色でもあるのだ。
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