誰も教えてくれなかったから/高柳ハシコ
 
私がまだ両親と同じベッドで寝ていた頃
私は自分から眠ることができなかった

眠るためには目を閉じなければいけない
私は目を閉じることができなかった

ぱっちりと目を開けて、豆電球のオレンジ色の点を見つめて
ぎゅっと目をすぼめて、豆電球のオレンジ色を振り切って

眠ろう、眠ろう、

――しわ寄せた眉間の辺りが疲れてきたので目を開く

右側から母さんの寝息
左側から父さんの寝息

どうやったら、そんな風に楽に目を閉じていられるんだろうか
どうやったら、そんな風に楽に眠れるんだろうか、

――あれ、朝が来たんだ

わたしは、どうやって目を閉じて眠ってたんだろう

戻る   Point(2)