おとずれる時/soft_machine
 
朝がくる
今生きる日を照らしながら
遠いどこかの仄めく闇から
それを私は今日と呼ぶ

それが晴れでも曇りでも
朝は今もどこかで
夜の間に澱した人の哀しみを
綺麗に振り払いながら

それを私は、今日と呼ぶ

 *

木漏れ日の中を落ちる金色の葉が風に口づけ悦びに回る

川の流れに身をまかせる少年の鞄でおにぎりが冷えてゆく

地雷の上を鳥が渡る行き先の国で扉がバタンと閉じられる

老人の背中が真っ直ぐしていた頃の手紙が机の奥でひとり開く

色褪せながら卵を産み落とした蝶からこぼれた鱗粉の付いた蜜柑がテーブルに転がる

 *

全ての物には
時が訪れ
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