「想いと言葉」/広川 孝治
自分を絶望と破滅から救ってくれた
最敬礼では程遠く
土下座しても及ばない
身をすりつぶして地面と同化させたいほどの
敬意と感謝の念
それが言葉にして宙に飛びだした途端
大量生産で工場から一秒に何個も吐き出されるプラスチックのおもちゃのように
てかてかと安っぽく光りながら
墜落寸前の飛行機のようにふらふらと飛んでゆく
こりゃようやく相手の耳に届いても
そこで失速
心まで届く力はないだろう
がっかりしてため息一つ
やはり想いを伝えるのは難しい
それでもあえて
年が明けた今
伝えたい
使い古された言葉ではあるけれど
溢れる想いを載せて
あなたへの言葉
「ありがとう」
そして
「愛してる」
ため息一つ
また届かなかった
のかな?
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