回遊魚シンメトリー/相田 九龍
大きな回遊魚が買い物に来て言う
「服はなるべく大人な方がいい」
静かに掴んだ胸ビレで
僕は世界を辿ってゆく
すべての気泡に魔法のようなメッセージ
色は求めれば彩り 忘れれば朽ち
眠りはやがて訪れ海は深さを増して
僕はどこまで行くのだろう?
ああ いつか僕も水族館の売店で売られたい
具体的な夢の売買に巻き込まれたい
海に終わりなんてなかったんだね
白いオーロラもまた揺らめき続け
僕はそっと掴んだ夢を離せない
永遠は形も変えず目の前で
僕らに挨拶をして通り過ぎていくよ
分かってきたよ
永遠に
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