モーリタニアでタコだった頃/テシノ
 
私がモーリタニアでタコだった頃
あなたは宇宙船の乗組員だったので
私の姿に驚かず毎日キスしてくれたよね
私は画家を目指してたけど
人類の壁の前に泣いてばかりで
そんな私の手だか足だかを
あなたは毎晩温めてくれた
私タコだしそれマズかったんだけど
あなたの温もりが嬉しくて
いつも寝たふりをしてから本当に眠ったの

あなたは飛ぶのが得意だったけど
泳ぐのは苦手でなんだか悔しそうに
いつも空で息継ぎの練習をしていた
馬鹿ね私は息継ぎだってしないでいられる
海の底から息継ぎもせずに
空のあなたをじっと見ていた

私達が壊れてしまったのは
あなたにカエルの水掻きが生えて
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