Born To Win [People]/プテラノドン
のガード下であえぐように酒を呑みながら
背負うべきものが何なのか考えていた。
帰り道、終電近くの満員電車の中、どうにかこうにか
座席についたところで友人は言った。
「鋪道の縁石の上を歩いていたじいさんの事、覚えてる?」
15年前、高校の時だ、バイクで事故った友人を見舞いに
病院へ向かう途中、僕らは縁石の上を歩いていた老人が
蹴躓いたのを見てゲラゲラ笑っていた。「覚えているよ。」
あれよ、時々思い出すんだわ。笑っちゃいけなかったよな。
それから僕らは、近くで吊り革につかまって立っていた
老夫婦に席を譲った。背負おうとしたのかもしれない。
わずかな時間であれ、忘れないのなら。離すつもりがないのなら。
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