酒場にて/チャオ
 
僕が、小学校入る前のこと。僕が、ずっと子供で、おとながずっとおとなだったころ、道端に、倒れたちょうちょがいた。僕は、ふと目を止めて、立ち止まって、ちょちょをすくい上げた。ちょうちょは、力なく羽を二、三度動かしたが、やがて動きを止めた。僕は、動かなくなったちょうちょを、静かに庭に持ち帰り、土に埋めた。
たまたま、祖母がそれを見ていた。祖母は土に埋める僕の姿を見て、僕の頭をさすってくれた。僕は、とても慰められた気がした。
またある日、僕は、道端に倒れたちょうちょとでくわした。僕は、まだ少し元気なちょうちょを抱え挙げると、少しだけ、息を吹きかけてやった。すると、ちょうちょは何とか、空に羽ばたいた。
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