名前を思い出して/あぐり
 
ないし
両親の名前でもないし
友人でも友達でもない
わたしがたった一人愛したあの子の名前でもなくて
手を何回も握りしめながらほどいてほどいて
呼吸を抑制しては
歩いて歩いて
どうして今日もあんなに健やかに笑えていたのにわたしは病気なんだろうって泣きたいほどわからなくなって
あぁ
わたし、
白蛇の名前思い出したらきっと解放される
名前をよんでほしいのだ
白蛇は(わたしも)

赦してほしい
もう良いだろう?
わたし、わたし
なんでこんなにも空が怖いんだろう
冷たくなる指の
記憶はきっと知っているくせに





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