失恋/ふね
ないのに 夕焼けで会ったことなど
どうしてか思い出す 燃えゆく空の淡い茜
いつまでも
あの空のようには交われない
炎と 水とは 触れたその時に 離れている
優しさは きっと幻ではなかった
ただ求めたのは 蜃気楼だと
いつまでも
信じたくなかった
求めた私自身を その愚かさを
時に昏く時に輝かしく道は覆った
甘い誘いのひだに打ち克つのは
どのような恐怖も難しい
ただ絶望ばかり噛み締めて やっとさよなら
どこまでもどこまでもどこまでも
この呪いは続いていくのかと愚かしい
恐ろしい不安ばかり蠢いている
けれども未だ甘い
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