いちご通りの話をしよう/あ。
うちから少し歩いたところに住宅街があった
大通りから出る七本の細い道で構成されており
それぞれの道には一号通りから七号通りまで
安直な名前が付けられていた
小学校に上がって通い始めた書道教室は
一号通りの突き当たりにあった
クラスで一番仲の良かったミキちゃんの家は
一号通りの中ほどにあった
なので一号通りを通る機会は多かったのだが
子どもの頃のわたしは一号通りをいちご通りだと思っており
何て素敵な名前の通りなんだろうと思っていた
これは偶然なのだが
ミキちゃんの家でいちごを育てていたのも
誤解を信じさせる一つの要因だった
わたしは一号通り
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