花/
岡村明子
美しい憂鬱
高貴なる倦怠
曇り空の下のチューリップ
仔猫は路地を駆け出し
大きな黄色い車に轢かれた
子供たちはチョークで人型を描き
死体を学校の花壇に埋めた
その土によってしか咲けなかったチューリップ
いまチューリップは家族の食卓を飾る
にわか雨によって帰路を急がされた父親は驚くだろう
その花びら一枚一枚の新鮮さに
それがもたらす幸福な家族風景に
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