金融からの帰農? 反ユダヤ主義とネゲブ開拓/A-29
 
 柄谷行人によれば、ハイデガーの反ユダヤ主義は「反国際的金融資本主義」であって、それは古典派の理論に依拠するものであるが、彼はもともとケネーの重農主義理論を継承した人だという。

《土地と人間の再生産とはいわば、「自然の生産」であり、自然による「贈与」である。反資本主義的なナショナリストが「血と大地」を強調するのは、理由のないことではない。それらは自然によって贈与されたものだ。「在る」を「それが与えるes gibt」というドイツ語表現において見るハイデガーの存在論は、ケネー以来の農本主義的思考とつながっている。しかし、ハイデガーはけっして「森の哲人」ではない。彼が「国家社会主義労働者党」を
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