めだかのがっこう/夕凪ここあ
8時35分の朝
○年○組はいつものように
入口も出口もなくなって
わたしたちは起立したまま
おそらく昨日分のあいさつを忘却している
いくつかの数式を
ため息の代わりに吐き出していたので
今朝が何回目のおはようか誰にもわからない
ということを誰も気にしない
ホームルーム
先生は死んだ魚の目をして泡に似たことばを羅列
今日の議題
「わたしのなくしてしまったロッカーの鍵について」
は教科書の
何ページにも書かれてない
整頓された黒板の文字を
メモする前に日直係が端から片付けていく
のを口をあんぐり開けたまま上の空で見てる
先生、
死んだ魚のような目ですか
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